瓦の重たさについて
最近お客様からのお問合せで多いのが、{瓦の重量}についてです。
そして、「現状の屋根瓦の重たさで家は大丈夫か?」・「瓦が重たいので軽い屋根材に葺き替えたい」
「震災後の瓦が崩れている映像を見て、自分の家ではどうなるのか?」などの
不安や疑問を聞くことが数年前から多くて、さらに前年の熊本地震でより多くの
質問を受けるようになりました。
まずは{重い屋根瓦}と言われる、
日本家屋で多く使用している{燻し和瓦}の昔からの工法についてです。
築40年ほど経過している燻し和瓦の屋根です。
瓦下の葺き土です。 こちらの屋根ではかなり多くの葺き土を使用していました。
25年ほど以前の屋根葺きには、瓦下に粘土に藁を混ぜた{葺き土}を置いて瓦をなじませながら
葺く工法が主流でした。
そして、瓦自体の固定は屋根の先端部分(軒先)や屋根端部分(ケラバ)などに、銅線や釘で
固定しています。
軒瓦を銅線で固定しています。
軒先以外の地瓦(真ん中面の瓦)はほとんど固定してなく、葺き土を瓦でなじませて{ひっつけている}状態です。
以前の屋根葺き工法では、葺き土を使用しているので30年~40年ほど経過すると
どうしても葺き土の粘着力や強度が落ちて、瓦がズレてきます。
軒先部分の固定線が切れて、瓦がズレ落ちています。
この状態になると瓦はもちろんですが、下地の葺き土も一緒にズレているので
補修がかなり難しいです。
お客様と話をしていて私が感じるのは、「重い屋根材を使用していることで、テレビで流れていた映像と
同様のことが起きるかもしれない」とすごく心配していることです。
テレビや写真で瓦が崩れ落ちている映像をみていて、私からすると{瓦の重さ自体}よりも、
{瓦葺きの工法}や{家の構造}に問題がなかったのかなと思うことがよくあります。
屋根屋である私は質問を受けると、
「現状の屋根を確認してお客様の不安・希望・予算などをお聴きした上で、一番良い方法を一緒に考える」
ことを意識しながら、いつもお客様と話をしています。
そして、
・部分的な補修工事を行う。
・屋根瓦の葺き替え工事を行う。
・何もしない。
などと、どれかの選択を考えます。