屋根修理
2024年07月30日

【現場で見てきた…】陶器瓦やセメント系瓦に塗装する時の注意点

・屋根瓦が劣化しているので塗装工事を行いたい

・我が家の屋根材に塗装工事は行えるのだろうか?

・屋根瓦に塗装工事を行うと、屋根の耐久性は上がりますか?

屋根材の表面が経年劣化などで傷んでいる状態を見て、上記のような考えをお客様からお聞きする事があります。

答えは{屋根材の種類と状態によって}、塗装工事は可能です。

【陶器瓦や燻し和瓦】など焼成した瓦は塗装不可、

【カラーベスト・セメント系瓦】は状態によっては塗装可能です。

屋根材に塗装を行う事で屋根の耐久性は上がりますが、塗装後の15年~20年経過すると再塗装又は葺き替え等の屋根材の全面工事が必要になります。

今回は屋根材に合わない間違えた塗装工事を行うとどのような不具合が生じるのか。そのような不具合が出ないように屋根塗装を行う場合の注意点があります。

最後には屋根塗装工事を含めてどのような屋根工事があるのか、又は、屋根の状態とお客様の考え方によっては【屋根工事を行わない】という選択についてもお話します。

目次

・陶器瓦や燻し和瓦に塗装工事を行うデメリット

・塗装を行える屋根材と、塗装を行う時の注意点

・終わりに 屋根塗装を行うと耐久性は上がるのか?

陶器瓦や燻し和瓦に塗装工事を行うデメリット

上写真は製造途中で色を塗ってから1,000度前後で焼成している【陶器和瓦】です。

焼成して仕上がる屋根材{陶器瓦・燻し和瓦}に塗装する事はデメリットのみで、良い点(メリット)はありません。

陶器瓦や燻し和瓦に塗装を行うと、数年後には上の写真のように表面塗装が剥がれるので塗装を行ってはいけません。

陶器瓦と燻し和瓦には{表面に付着する水分を吸収(ごく少量)して、自然に排出する}という瓦自体が呼吸する性質があります。ところが、その表面に塗装を行う事で瓦本来の性質が出来なくなります。結果、瓦の寿命が短くなります。

このような状態になると屋根の部分補修は難しく、

【葺き替え工事】又は、劣化が進んでくる事を承知で【何も工事を行わない】等の選択肢があります。

塗装を行える屋根材と、塗装を行う時の注意点

一般住宅で使用している屋根材で、塗装できる屋根材は主に以下の2種類です

・カラーベスト

・厚型セメント系の瓦

カラーベスト

薄型のセメント屋根材で一般住宅に多く使用しています。

家を建てられてから20年~25年ほど経過してから塗装工事を検討する方が多いです。

注意点

割れ等で屋根から雨漏りしている場合、塗装工事だけでは雨漏りは止まらない

カラーベストの【割れ・見えない部分の不具合】によって雨漏りしている場合は、塗装工事だけでは止まりません。

塗装は屋根材の表面のみを塗る工事です。決して塗装工事を否定してる訳では無く、屋根上の塗装とはそのような工事になります。

カラーベストの重なっている見えない部分や、板金とカラーベストの取り合い部分の不具合が原因で雨漏りしている場合は、

{雨漏りしている部分のカラーベストを取り替え、又は板金材の取り付け}等の屋根工事店の補修が必要になります。

そのような雨漏りを止める補修を行い、補修後に雨が何度か降った後に雨漏りが止まった事を確認してから塗装を行うようにしてください。

塗装工事を行う場合、カラーベストの重なり部分の縁切り工事をキッチリと行ってもらう

塗装工事を依頼する時に必ずその業者に伝えてほしい事が【重なり部分の縁切り工事】又は、【タスペーサー(縁切り用の金具】を使用して、カラーベストの繋ぎ目を塗装で埋めない事です。

この工事を省くと屋根全体の劣化と雨漏りを引き起こします。

屋根塗装の悪い施工例です。カラーベストの繋ぎ目に塗装膜(横筋)が出来て、隙間を埋めています。

屋根材の性質上、カラーベストの重なっている部分にも少量ですが(縦筋等から)必ず水が入り込みます。

その入り込んだ雨水は自然に重なり部分(横筋)から外に排出するのですが、その排出先に塗装膜があると、カラーベストの内側に水が溜まって釘穴などから雨漏りが生じます。

上写真はカラーベストの内側に入った水が、外に出ようとする出口に塗装膜があるので排出されずに、カラーベストの内側まで入り込んで雨漏りを引き起こしている状態です。

塗装工事後にそのような不具合を起こさないように、塗装業者には重なり部分の縁切り工事を伝えてください。

ほとんどの塗装業者は縁切り工事をキッチリと行ってくれますが、中には塗りっぱなしの業者もいるので注意が必要です。

 

厚型セメント系の瓦

厚型のセメント瓦(モニエル瓦)です。

カラーベストと同様のセメント系瓦で、カラーベストよりも厚みが十分にあるので耐久性も高い屋根材です。

ただ、建てられて25年~30年ほど経過してくると屋根材の表面塗装が薄くなりセメント材の白地が出てくる事もあります。

そのような状態になると、{屋根塗装又は葺き替え工事}などを検討する時期になります。

注意点

カラーベストと同様ですが

雨漏りしている場合は、雨漏りを止めてから塗装工事を行う

屋根から雨漏りしている場合、まずは雨漏りを止める工事が必要になります。

厚型セメント瓦を葺いている現場で雨漏りする原因は様々にあり、その補修には専門の屋根工事業者による修繕工事が必要です。

雨漏りが確実に止まった事を確認してから、塗装工事を行うようにしてください。

・屋根材の重なり部分の縁切りをキッチリと行ってもらう。屋根材に合わせた塗装材を使用する。

屋根塗装してから数年後に、表面塗装が剥がれて見た目が悪くなっています。

この工事と塗装材を間違えると【屋根材の劣化・雨漏り】を引き起こす原因になるので、塗装業者に瓦の重なり部分の縁切りを伝えて、可能ならば工事後を写真で撮ってもらい屋根の確認を行うようにしてください。

 

終わりに・塗装工事を行うと屋根の耐久性は上がるのか?

ここまで読んで頂いてありがとうございます。

正しい塗装工事を行えば屋根の耐久性は上がります。

塗装工事を行ってから10年~15年と経過している屋根を見ても、問題無い屋根は多くあるので、塗装工事は有効だと考えています。

お客様が屋根の葺き替え工事では無く、塗装工事を選択する理由として{工事費用}が大きいと思います。

家周りの単管足場工事は別として、大まかな㎡単価ですが、

・屋根塗装の単価は3,500円~5,500円/㎡辺り

・屋根の葺き替え工事の単価は 12,000円~/㎡辺り

このように屋根塗装工事と屋根材の葺き替え工事には、費用的に大きな差があります。

その上で検討していただきたい事は

・この家にあと何年住むか

・これから15年後~20年後、又は今後もずっと住み続ける予定の場合、家全体の事を踏まえて現在どのような屋根工事を行うべきか

お客様やご家族の考え方により、以下のような様々な工事を選択できます。

・屋根塗装工事

・屋根材の葺き替え工事

・屋根材のカバー工法

又は、25年~35年経過して多少の劣化を確認しているが、現在の屋根は雨漏りしていないので、

・今は工事を何もしない、という選択も大切だと考えます。

ご自宅ではどのような屋根材を使用しているか分からない場合や、現状を考えてどのような工事を選択したら良いか分からない場合もあると思います。

当社ではお客様と打ち合わせを行い、できる限り要望に沿えるような工法を提案しています。屋根に関して疑問点や要望があれば、ご遠慮なく当社までお問い合わせください。